2011年2月19日土曜日

中田翔の激変ぶりをキャンプで検証。ホームラン・アーチストへ覚醒か?

 もはや、活躍するしないの領域で彼を論じてはいけないのかもしれない。

 右打席から放たれるその日本人離れした打球、練習に対する姿勢、取材の受け答え。どれをとっても、一流の風格が出てきた。

 プロ4年目、日ハム・中田翔のことである。

 これまでも、何度も中田のことは取り上げてきた。ただそれは、期待感に近いものがあったのも、また事実である。高校通算本塁打記録を塗り替えた男には、プロの舞台で、なんとかモノになって欲しいという願いが先行していた感があった。

 しかし、その期待感が確信に変わりつつある。現場で得た様々な証言からも、彼の一挙手一投足にさえ一目置かれ始めているのが分かった。

 ある番記者がこう話していた。

「とにかく練習する。球場から出てくるのはいつも最後だし、休日も休まない。発言も大人になりましたよね。すごいよ、今年の中田は。打球が、パワーが、違います」

■中田翔と斎藤佑樹のプロ初対決は意外なまでに平静だった。

 春季キャンプ第3クール初日。この日は、中田翔vs.斎藤佑樹の勝負が実現するとあって、メディアの注目を集めていた。'06年夏の甲子園の2回戦、優勝候補筆頭の大阪桐蔭高にあって、2年生にして4番を任され人気急上昇中だった中田。その中田を3三振に切ってとり甲子園から去らせた投手こそ、当時はまだ無名に近い存在の斎藤だった。いわば斎藤佑樹の未来を変えた試合で、かませ犬になったのが中田だったのだ。あの時、斎藤が中田に対して見せた投球術は、以後の彼のピッチングを本物にした。

 そんな彼らが対戦するとなれば、マスコミが注目するのも、無理はない。だが、この対決には、メディアが騒ぐほどの熾烈な様相はなかった。紅白戦でもなければ、シート打撃でもない、フリーバッティングであいまみえた二人の対戦は、斎藤は「ストライクを投げようと思った」だけだったし、中田にしても、「斎藤さんが相手とか関係なく、自分がこれまで練習してきたことを、しっかり確認したかった」という程度のものだった。

■ホームラン・アーチストとしての本領を斎藤に見せつけた。

 結果は、報道されているように、中田が7発の本塁打を放った。

 7本のうち5本がセンターから右方向へのものだった。斎藤がアウトローを中心に外角に投げていたとはいえ、それを力で無理矢理引っ張り込もうともしない。また、球に合わせての右方向への打球を特に意識している訳でもなく、自然と飛ばしているのだ。その見事な技術に、中田の凄まじい成長の証を見る思いがした。

 往年の落合博満や広沢克実、近いところでいえば中村剛也(西武)が放つ、右投げ右打ちのホームラン・アーチスト特有の右方向にぐんぐん伸びていく打球が、今の中田の打棒から放たれるようになっていたのだ。

 練習後のコメントでも中田は「風もあった」として自身の力だけの本塁打ではないと頬を緩ませることさえしなかった。だが実際は、打たれた斎藤にして「さすがはプロの選手。右方向へ大きいのを打つ」と感嘆させたほどの力強い打球だったのである。

■「今年は全く違う。俺は信じるよ」と梨田監督。

 間違ってはいけないのは、中田が変わった点は技術だけではないということだ。

「オフに入ってから、右方向に打てるようになろうと思って、そのことを考えて振ってきました」という彼なりの技術的なアプローチが成果を上げているのは確かではある。だが、そうした技術面よりも、野球に対して取り組む姿勢そのものが激変したということが重要なのだ。

 プロ入り1年目の時のような軽口を叩く様子もないし、何より練習での真剣味がまったく違う。

 最近の中田については、梨田監督の評価も上々である。

「取り組みがいいよね。練習をよくするのもそうだけど、練習は多くすれば良いってもんじゃない……中田の場合は、練習の中でおかしいと思ったことに対して、もう一度確認したり、分からないときは、コーチに聞いたりしている。自分で気付いてやろうとしている。去年も今頃は調子良かったけど、今年は全く違う。俺は(中田を)信じるよ」

■落ちているボールを拾い集める姿に人間的な成長が現れていた。

 とはいえ、取り組む姿勢や右方向への強烈な打球まで備えた素晴らしい打棒も、振り返ってみると去年から伏線はあったのだ。

 昨シーズンの中盤、彼がプロ初本塁打から続けざまにアーチを量産し始めた頃のこと。取材していて特に感心したのは、技術的な成長よりもむしろ練習での態度の方だった。

 試合前、守備練習から三塁ベンチに引き揚げる際、ゲージ下に落ちていたボールをひとつずつ丁寧に拾いあげていた中田の姿。これまでの彼では絶対に考えられない光景だった。この春のキャンプでも、グラウンドに無造作に転がっているボールをそのまま残して練習を引き上げるような選手ではないことを、再び確認した。

 このキャンプ、中田は「隙を見せたくない」とたびたび口にしている。

 1球も無駄にしない……落ちているボールさえ見過ごさないという、野球に対する極端なまでに真摯な姿勢が、別人かと見まごうほど中田を人間的に成長させていたのだ。

 そんな少しずつの「変化」が積み重なって、このキャンプ、中田は大きな飛躍を果たそうとしている。

「これまでならホームランじゃなかった打球も右方向に(ホームランとして)打てるようになった。左方向のホームランも、今までだったら、開いて打っているだけだったのが、ひじを畳んで、回転して打てたので、手ごたえ的にも良かったです」

 斎藤との対戦があった直後、笑みをこぼすでもなくまっすぐ前を向いたまま淡々と中田はコメントしている。

■ダルビッシュの領域まで、いかに近づけるか?

 初の対外試合となった広島との練習試合では、2打席連続本塁打を放つ活躍を見せた中田。試合後のコメントでは「ホームランを打てたことは嬉しいんですけど、ヒットを打てた・打てないは別にして、やろうとしてきたことができない打席があった」と猛省していた。今の中田は、結果だけが重要という価値観を越えているのだ。

 もはや、彼が活躍するしないのレベルで論議するのはナンセンスである。

 これから彼が目指すべきは、今の取り組み姿勢をさらに深めていき、アスリートとしての最終目標をどこまで高くしていけるか、ということなのだろう。

 オフの間に劇的な肉体改造を試み、野球に対してどこまでもストイックな姿勢を貫いている、今や誰もがその名を挙げる日ハムのあの選手のように……。

 そうダルビッシュの領域にまでたどり着けるかどうか。

 今後の中田への関心は、むしろ、そっちにある。

プロバイダ選びに疲れた!そんなあなたはコムズへGO!


電話加入権不要の固定電話登場!電話代を安くしたい人も要チェック!


コムズリンクスタッフ: オススメ商品

上田和明氏が巨人育成コーチ就任

 巨人の編成調査室課長・上田和明氏(48)が、近日中にも2軍の育成コーチに就任することが16日、分かった。今年は育成枠選手が計23人に増加。球団はかねてからコーチの人員増を模索してきた。05年まで1軍内野守備走塁コーチを務めていた上田氏は、6年ぶりの現場復帰となる。

 巨人では今季から従来の2軍に加え、もうひとつのチームを編成。1日に最大3試合が行われることになった。それだけに、コーチの増員は必要不可欠なものだった。

 今キャンプで上田氏は小笠原、高橋らベテラン勢のS班を“臨時コーチ”としてサポート。故障に気を使いながら、持ち前の元気の良さを前面に出し、練習に活気を注入してきた。また、笑顔の絶えない明るいキャラクターで、若手選手からの人望も厚い。チーム力の底上げを担うには、うってつけの存在だ。

 ◆上田 和明(うえだ・かずあき)1962年8月3日、愛媛県生まれ。48歳。八幡浜高から慶大に進学。84年にドラフト1位で巨人入団。主に守備、代走要員として活躍。93年に現役引退し、巨人の用具係、スカウトなどを担当。01年から05年まで1軍の内野守備・走塁コーチを務めた。181センチ、72キロ。右投右打。

プロバイダ選びに疲れた!そんなあなたはコムズへGO!


電話加入権不要の固定電話登場!電話代を安くしたい人も要チェック!


コムズリンクスタッフ: オススメ商品