2010年11月22日月曜日

胴上げ投手の斎藤、持っていた!?シナリオ「先発」は煙幕

 シナリオ通りの“できすぎ最終章”の裏側とは-。明治神宮野球大会は18日、決勝で早大が東海大に競り勝ち、11回目の出場で初優勝。日本ハムからドラフト1位指名されている斎藤佑樹投手(22)は、リリーフで9回の1イニングを3者凡退で締めて見事胴上げ投手に。報道陣から「やはり“持ってる”」と持てはやされ、「まぁ確かに、持っていないと言ったらウソになるかもしれません」と笑った。

 平日の昼にもかかわらず、斎藤見たさに1万6000人の観客が神宮球場に詰めかけた。早大は0-1の6回に2点を奪って逆転。先発の福井優也(広島ドラフト1位)が6回1失点、2番手・大石達也(西武ドラフト1位)が2回無失点に抑えた後をうけ、斎藤は9回に満を持して登場。わずか1イニング12球で胴上げ投手になったのだから、斎藤のために脚本があったかのような展開だった。

 優勝決定後、応武篤良監督は「一昨日(16日)の試合後、『先発ではなく、最後にマウンドにいてほしい』と斎藤に伝えました」と明かした。とすると、雨で順延となった前日(17日)、斎藤が「きょうの先発予定は僕でした」と明かしていたのは、相手を欺くための煙幕だったことになる。その透き通るような目を疑わずに記事にした報道陣は完全に一杯食わされた格好だった。

 もっとも、敵将の東海大・横井人輝監督は「私は今夏の世界大学選手権で応武監督と一緒だった(2人とも日本代表コーチ)から、性格はよく知っている。間違いなく、こういうシナリオを描いてくるとわかっていました」という。「それだけに余計悔しい。シナリオをつぶして“悪者”になるつもりだったのに」と歯ぎしりし、斎藤については「おかしいな…ホントに何か持っているんだな、あの野郎!」と首をひねるばかりだ。

 斎藤が先発しなかった理由は、巨人・原辰徳監督の父で東海大の3年生エース・菅野智之投手の祖父、原貢・東海大系列校野球部総監督の言葉に集約される。「準々決勝でも準決勝でも、球速が出ていなかった。肩かひじが重いのではないか」とみていたのだ。

 斎藤は準々決勝に先発して6回無失点、準決勝にも先発し5回1失点でしのいだが、本人は「内容はよくない」と自己診断。決勝も先発するつもりで、「(抑えといわれて)多少びっくりしました」というが、現状では福井、大石の安定感の方が上-というのが、応武監督の本音だったのではないか。練習試合で斎藤が東海大に2度打ち込まれたという、過去の相性の悪さもあった。

 薄氷を踏む思いでたどりついた大団円。斎藤は観客へ向けたヒーローインタビューで「上のステージ(プロ野球)でも、またエンターテインメントできるように頑張ります」と挨拶し、喝采を浴びた。まさにファンを魅了するエンターテイナーとしての資質は抜群。持って生まれた強運もまたおそろしいほどだが、それだけではプロの世界を生き抜いていけないことは、本人が一番承知している。

 表彰式後、斎藤は大学4年間を振り返り、「山あり、谷あり。谷の方が多かった。3年生になって勝てなくなり、投球フォームを崩した。まだまだです。プロ野球というステージへ向けて、体作りからやっていかないと」と述懐した。プロで伝説をつくるには、“持っている”だけでは足りない。ポテンシャルをもう1ランク上げる必要がありそうだ。


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