2011年10月30日日曜日

【プロ野球】巨人「下克上」のカギを握る澤村拓一の起用法

 10月29日からはじまるセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)。短期決戦ではかならずキープレイヤーが出てくる。その中で、昨年のロッテ同様、巨人がシーズン3位からの“下克上”を果たすためのキーマンは誰か。

「それは澤村拓一を置いてほかにいないでしょう」

 そう断言するのは評論家で、1994年の日本シリーズMVPの槙原寛己氏だ。槙原氏が澤村に注目するのは対戦チームとの相性だという。

「9月以降の安定感はエースの内海哲也をしのぐほどだし、特に彼は中日に強い。巨人がヤクルトを退け、中日を引きずりおろして日本シリーズに勝ち上がるには、どうしても澤村の力が必要です。彼がフル回転して好結果を残すようになれば、巨人に下克上の可能性も出てくるでしょう」

 たしかに澤村は9月15日に7勝目を挙げたあと、一度も負けることなく4連勝してシーズンを終えた。また中日に対しては9月以降の3試合すべてに完投し、失点はわずか2。さらに許した安打は3試合でたったの9本と完全に抑え込んだ。この相性のよさは、巨人が勝ち上がったときに心強い材料となるのは間違いない。

「澤村は8月ごろまではどの打者に対しても、どんな状況でもめいっぱいのストレートで抑え込もうとしていた。ところが、なかなか勝ち星がつかない中で試行錯誤するうちに、全部150キロを超えるようなストレートを投げる必要はないと気づいたんじゃないでしょうか。9月以降は走者がいない時といる時の投球がはっきり変わってきた。メリハリがついてきました。大事な場面では一段ギアが上がる。球威のある球を投げ込んでくる投手というのは相手チームにとってただ速い球を投げる投手よりいやな存在ですからね。そういう投球が身について勝てるようになりました」

 槙原氏によると、そうした試合の中でのメリハリは、プロに入って3、4年経たないと身につかないものだが、澤村はルーキーシーズンの中でそれを身につけたという。

「そのあたりに彼の才能を感じますね」

 当然CSでの澤村のピッチングに期待も高まるが、ポイントは起用法だ。CSはファーストステージ3試合で先に2勝したチームがファイナルステージに進み、ファイナルステージでは6試合で先に4勝(1位チームは1勝のアドバンテージ)したチームが日本シリーズへと進む。メディアの予想では、巨人の先発はヤクルトとの第1戦からエースの内海哲也、2戦目が澤村と正攻法で来るのではと見られている。ただ、違うパターンもあるのではと槙原氏は言う。

「日本シリーズ進出を果たすためには、軸になる投手を3回投げさせたい。あるいは澤村を中日戦まで温存し、ヤクルト戦は内海のほか、ゴンザレス、東野(峻)らで乗り切るという考え方もある」

 去年のパ・リーグCSはロッテがエースの成瀬善久をファーストステージ第1戦、ファイナルステージ第1戦、6戦と中4日で3試合登板させ、その試合をすべてものにして下克上を果たした。もしかすると、今年の巨人は新人の澤村が3試合登板を期して第1ステージ初戦から登場ということもあるかもしれない。ただ、澤村を軸にした起用となると、エース内海のプライドを傷つけることにならないのだろうか。

「いや、短期決戦では個人の気持ちというのは度外視していいし、選手のほうもあまり気にしないものです」

 槙原氏は巨人時代、斎藤雅樹、桑田真澄といわゆる三本柱を形成し、日本シリーズでも活躍した。だが、3人の中で「誰が第1戦に投げるか」とか「相手のエースとぶつかるのは誰か」などといったことを気にする場面はなかったという。

「投手コーチが起用法についてしっかり説明すればいいだけの話ですよ」

 注目のCS初戦、巨人のマウンドを託されるのは内海か、それとも澤村か? 原監督の決断はいかに――。



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