2010年12月29日水曜日

球団総年俸が大変動 高給取り仕分けで巨人首位陥落

 2011年、プロ野球の常識が覆る!? わが国で最もリッチなプロスポーツチームといえば、「球界の盟主」こと読売巨人軍と相場が決まっていた。金に糸目を付けない戦力補強は、「金満」「強奪」などと揶揄(やゆ)されてきたが、今オフは高給取りを“徹底仕分け”。派手な補強もなく、来季の選手年俸総額でトップの座を阪神、ソフトバンクなど他球団に譲る未曾有の事態も正夢になりそうだ。

 今季リーグ4連覇を逃した巨人は、10月中旬に渡辺恒雄球団会長が「(選手の年俸総額で)10億円ぐらい浮くからな」と思い切った粛清を宣言。予告通り、球界最高年俸6億円の李承ヨプ、3億円のクルーン、1億7500万円の豊田が戦力外となった。

 一方、大幅減俸もいとわず、グライシンガーは1億8000万円減の8000万円、2億4000万円の谷も1億1000万円減の1億3000万円で契約更改。これだけで人件費が14億円近く浮いた計算だ。

 これまでの巨人なら、大ナタを振るった分は、新たなビッグネームを獲得するのが通例。リーグ優勝しながら、クライマックスシリーズで中日に惨敗した2007年オフには、渡辺会長が「ろくな外国人がいない!」と激怒。トップの大号令を受けて、ヤクルトの主砲ラミレスと最多勝のグライシンガー、横浜の守護神クルーンと助っ人を大補強したのは、記憶に新しいところだ。

 今オフも渡辺会長は、「かつての江川とか桑田みたいなのが1人いたら、今年は優勝しているね」とV逸の原因を指摘。「このピッチャーなら10億円で25勝するよってのがいたらね」とエース級投手の補強に意欲をみなぎらせていた。

 ところが、ここまで球団フロントの動きは不気味なほど静かだ。フリーエージェント(FA)市場に大物投手が出回らなかったこともあり、おもな新戦力は自前で発掘した外国人3人のみ。しかも、そろって年俸は1億円以下の格安助っ人だ。

 まだ更改が済んでいない選手もいるが、これで来季の年俸総額(支配下選手のみ、出来高分を除く)は38億円程度に収まる見込み。前年比で11億円も人件費を圧縮したことになる。チーム強化のために、他球団から大物を引っ張ってくる従来方針から、転換を意識しているのは間違いない。

 これで相対的に、今季年俸総額2位の阪神は、巨人との差を縮めることが必至だ。年俸4億円の藤川球、城島(未更改)を筆頭に、今季はキャリアハイの打撃成績を収めた野手も多く、来季の年俸総額は37億円弱となり、巨人とほぼ同等となる見込み。今後の補強次第では、巨人を追い抜いて12球団トップに躍り出る可能性も出てきた。

 そして、金満ぶりで阪神以上に巨人に肉薄しそうな勢いなのが、今世紀に誕生した新興球団ソフトバンクだ。

 カリスマ球団オーナーの孫正義氏は本業も好調で、親会社のグループ連結決算2兆7000億円余(09年度)は今や12球団ナンバーワン。今季の年俸総額32億円超は全体3位でパ・リーグでは断然トップ。ソフトバンク創設6年目で初のリーグ優勝を収めたが、孫オーナーも連日応援に駆けつけたクライマックスシリーズでは敗退した。

 悲願の日本一達成を目指し、今オフは他の追随を許さないほど、大盤振る舞いの巨大補強を敢行している。FAの目玉となった前横浜の内川、前西武の細川を両獲り。さらにオリックスとの契約がまとまらなかった主砲カブレラまで手にした。

 2年契約の途中だが余剰戦力となった年俸1億円の李ボムホなど、去就が流動的な選手もいるが、今季の約32億円を大きく上回ることは確実で、年俸総額で巨人を抜く可能性は十分ある。しかも今オフの契約更改交渉から、出来高の割合を厚くする新査定制度が一部導入。各選手の活躍いかんでは、出来高も含めた総額で巨人を一気に引き離すかもしれない。

 金銭面でも「大リーグに追いつけ、追い越せ」だった巨人が、金満球団の看板を下ろすときが来たのか。ただし、球団関係者からは「お金の使い方が変わっただけ」との指摘もある。育成枠から今や1軍の主力にまでのし上がった山口、松本らの活躍もあり、来季は育成選手が23人まで膨れあがる。いかに給料は安くても、1人当たりの強化費ほか、2軍施設の整備も進めており、資金面で恵まれているのは間違いない。

 景気の低迷する世情に沿って“仕分け”を断行した巨人は、長期的な展望をもとに育成力で覇権奪回に挑む。ただし、育成だけでは実戦で思うような結果が出なかったとき、どこまでかつての“ほしいほしい病”を抑えられるか。歴史が動く2011年度ペナントレースに注目だ。

プロバイダ選びに疲れた!そんなあなたはコムズへGO!


電話加入権不要の固定電話登場!電話代を安くしたい人も要チェック!


コムズリンクスタッフ: オススメ商品

0 件のコメント: