外野手としてゴールデングラブ賞を受賞したのは過去のこと。２４日に豪州プロリーグ（ＡＢＬ）での武者修行から帰国して間もないが、この日はＧ球場でさっそく約３０分間の内野守備練習。三塁や遊撃のポジションで朝井が放つノックを受け、ミスらしいミスは１つもなかった。「実戦をやってきたので動けて当然。原監督は『１つにこだわらず』と言ってるけど、キャンプでは下手くそな三塁をやる。もっと数を受けないといけない」とひとまず外野守備は頭の中から捨てて、三塁一本で来季に臨む考えを明かした。
今季、１０２試合で三塁のポジションについた小笠原は、負担軽減のため一塁固定のプランが浮上。ラミレス、長野、松本、高橋、谷ら超レギュラー級がひしめく外野より定位置は確保しやすくはなった。「そういったチャンスを与えてもらっているけど、小笠原さんを抜くつもりじゃないと。（三塁手の）外国人（ライアル）も入ってくるし、下からはい上がるつもり」と、キャンプ初日から猛アピールして、自力でレギュラーをつかみ取る。
レギュラー取りに、打撃復調も鍵となる。「打たないことには試合に出られない」。今季は、打率１割８分５厘と低迷。しかし、１１月に渡豪して出場したＡＢＬでは、出場１６試合で打率４割３分８厘、７本塁打、２５打点を記録。シーズン途中ながら“３冠王”になった。この日も室内練習場で鋭い打球を連発。「いい感覚を持って帰ってきたのでこのままやっていきたい」と兆しは見えている。
目標とする頂は高い。守備の名手に贈られるゴールデングラブ賞にも「やるからには取りたい」とキッパリ。内外野２ポジションでの同賞受賞は過去、元巨人の高田繁氏、ロッテの西村徳文監督の２人しかいない偉業だ。
現在は大田のグラブを借りて練習しているが、新しい三塁手用のグラブも発注済みで準備も万端。「覚悟を決めてますし、クビになるなら、自分を貫いて辞めていった方がスッキリする」と、退路を断つ決意で再起をかける。
◆亀井のサード挑戦メモ
▽１１月１日 Ｇ球場での秋季練習初日、原監督から三塁挑戦の打診を受ける。
▽同３日 シートノックで初めて三塁を守り、軽快な動きを披露。原監督も及第点。
▽同７日 宮崎秋季キャンプの紅白戦で実戦デビュー。６度の守備機会で失策なし。
▽同８日 守備練習中に打球があごを直撃。大事に至らず。
▽同９日 キャンプ第１クールを振り返り「守備は１００点満点で１０点」と厳しい自己評価。
▽同２３日 豪州プロリーグ（ＡＢＬ）に参加するため出発。
▽１２月１２日 豪州リーグ・シドニーとのダブルヘッダーでともに「３番・三塁」で先発。２試合で７打席連続安打を含む１０打数８安打２本塁打４打点と爆発。守備も無難にこなした。
◆巨人の来季構想 小笠原は来季から打撃への負担を軽減させるために「一塁固定」が基本線。高橋が今季同様に右翼と一塁の「二刀流」で臨む。空席となった三塁には、亀井、新外国人のライアル、３年目の大田で競わせる方針。２月の宮崎春季キャンプ、オープン戦で芽が出なければ、小笠原を三塁に戻し、高橋が一塁に回ることもある。
◆過去の内外野でのゴールデングラブ賞（８５年までの名称はダイヤモンドグラブ賞）
◆高田繁 ６７年のドラフト１位で巨人入団し、１年目から左翼のレギュラーに定着。７２年から４年連続でダイヤモンドグラブ賞獲得。７５年オフ、張本勲が日本ハムから移籍し、本人が左翼手を希望したため、当時の長嶋監督から三塁コンバートを通告。７６年から２年連続で同賞を受賞。
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