2011年1月5日水曜日

死にゆく妻、でも幸せ「僕と妻の1778の物語」の竹内結子

【新春エンタメざんまい】

 1月15日公開の「僕と妻の1778の物語」は、がんで死にゆく妻に、毎日一編の小説をささげる作家を描いた感動作だ。妻、節子を演じた竹内結子(30)は「“終わり”に向かっていく話ではあるけれど、どこよりも幸せな夫婦の話ではないでしょうか」と語る。(岡本耕治)

 自分の空想にひたりがちなSF作家の朔太郎(草●(=弓へんに剪)剛)は、妻、節子(竹内)ががんで余命わずかと知る。医師から「笑いが免疫力を高める」と聞かされた彼は、毎日1編の笑える小説を妻のために書くことを決意する…。

 この物語は、「なぞの転校生」などの作品で知られるSF作家、眉村(まゆむら)卓(たく)氏(76)が、がんにかかった妻に毎日1編の小説を書き続けた実話がモデルとなっている。

 竹内は、脚本を初めて読んだときの感想を「毎日1つずつお話を書き続ける気持ちは、想像するとものすごく重い。受け取る側も精いっぱいの気持ちで受け取りたいと思った」と話す。

 監督の星(ほし)護(まもる)(52)は草●(=弓へんに剪)剛(36)と組んで、テレビドラマ「僕の生きる道」(平成15年)などの「僕シリーズ」を手がけてきた。今回はシリーズの初映画化作品として位置づけられている。

 朔太郎のおもちゃだらけの自宅や、彼が夢想するロケットやロボットが行き交う世界を、星監督は細部までこだわり抜いた映像で表現。「とにかく凝り性の監督で、小道具や俳優の配置で『シンメトリー(左右対称)に』といつも言っていた。最初は理解できなかったが、完成した作品を見たら、すべてがシンメトリーになっていて、それを崩すことで、これから起こる不幸や不安を暗示させていた。すごいと思いましたね」

 劇中で朔太郎が妻のために書く物語は、すべて眉村氏が実際に執筆したもの。新聞集金人に化けた火星人の話、奇妙な暗号を留守番電話に吹き込むアルバイトの話…。日に日に弱っていく妻のために、朔太郎が必死になって書いた物語が、草●(=弓へんに剪)の淡々とした声で朗読されていく。

 「草●(=弓へんに剪)さんは夢見がちなSF作家という設定にとても合っていた。彼の声は聞いていると、やさしくて冷静なようでいて、その中に違う感情が時折交じっているところが好きです」

 余命1年といわれた節子は、奇跡的な回復を見せ、5年を生きる。毎日書かれる原稿用紙が少しずつ積まれていく。その高さによって、彼女が生きながらえた時間を表す演出が印象的だ。星監督は白紙を積み上げることを嫌い、一枚一枚すべてに物語を書き写させたという。

 この作品は「かわいそうな妻のために、毎日小説を書いてあげた」という単純な話ではない。朔太郎は小説を書くため、寝込んでいる節子に背中を向け続ける。その行為は妻のためなどではなく、自分がつらい現実から顔を背けるためであり、それを妻は許してくれている、と友人に語るシーンがある。

 竹内は「節子は朔太郎に自分の寂しさや不安を、一切見せないようにしていた。視点を変えると、懸命に節子を支えようとした朔太郎が、実は彼女から支えてもらっていた、というお話なのかもしれません」と語った。

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