2011年11月4日金曜日

【プロ野球】〝CS弱者〟返上! 内川がいるホークス打線はCSでも湿らない


 今季のパ・リーグを歴史的大差で制した福岡ソフトバンクホークス。今月3日から始まるクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージの相手は西武になった。その西武をレギュラーシーズンで20.5ゲーム差も引き離し、対戦成績も15勝5敗4分と圧倒。もはや不安などあるはずもないと思うのだが……。
 しかし、ホークス首脳陣、選手たちに楽観ムードはない。それどころか鬼気迫るオーラすら感じるほどだ。それも過去の悲劇を思えば、至極当然のことだろう。2004年からプレイオフ制度(07年からクライマックスシリーズ)が導入され、ホークスは6度出場(シーズン1位は3度)してすべて敗退。昨年もロッテの〝下克上〟を演出する屈辱を味わった。
 悲劇の歴史をひも解くと、そこには必ず「中軸打者の不振」があった。04年はシーズン三冠王の松中信彦が、プレイオフ5試合で打率.105、1本塁打、1打点とまさかの大ブレーキ。翌05年も松中が4試合まで無安打と波に乗れず、ロッテに惜敗。06年は斉藤和巳をはじめ投手陣が奮起したが、打線が日本ハム投手陣から2試合で1点しか奪えずに敗退。昨年も同じく、小久保裕紀、松中、オーティズの中軸が打率1割台と低迷した。
 もう二度と悲劇を繰り返さないために――そのキーマンとなるのが内川聖一だ。移籍1年目から自慢の打棒を発揮し、江藤慎一以来、史上2人目となる両リーグでの首位打者を獲得。さらに、内川の加入がソフトバンク打線全体にもたらした相乗効果も大きかった。
「最高の右バッター。間近で見させてもらうだけで勉強になります」と話す松田宣浩は自身初のフルイニング出場を果たし、パ・リーグ2位の25本塁打をマーク。さらに川崎宗則と本多雄一の1、2番コンビも内川によって役割がより引き立った。
「ポン(本多)が『ウチさんがホームに還してくれる。ウチさんが来てくれたおかげで僕の価値が高まりました』と言ってくれた。嬉しかったですね」(内川)
 また、内川のキャラクターも大きな戦力となった。自らのアゴをネタにした自虐ギャグでチームを笑いに包み込み、これまでにない明るいチームへと変貌させた。
「移籍したことで自分のことを受け入れてもらおうというより、内川聖一ってこんな人間ですというのを出していこうと思ったんです。馬鹿なことをしたり、しゃべり倒したりしてね(笑)。僕はそういう部分を含めて獲ってもらったと思っていましたから。もちろんグラウンドでは真剣ですけど、一方で『アイツ馬鹿やってんな』って思われるのもいいと思っていました」
シーズン終盤には明石健志や福田秀平といった若手がのびのびとプレイして、チームに勢いをもたらすなど、過去のソフトバンクにはない雰囲気が今はある。
 だが、内川にとってははじめてとなるCS。当然、プレッシャーを感じていると思いきや、「経験していないことはプラスになるはず」と自信をみせる。
「ホークスに来て、CSの話は耳にタコができるほど聞いてきました。ただ幸か不幸か、僕はCSの怖さを体験していないので、とにかくシーズン同様、初球からガンガンいくスタイルを貫くだけ」
 ただし、〝普段通り〟という言葉は否定する。
「CSってやっぱり特別なものだと思います。その中で〝普段通りに〟というのは一番難しいこと。特別ならば、特別なものと捉えて臨みたいと思います」
 そして現役時代に7度日本一を経験するなど、短期決戦を知り尽くす秋山幸二監督は、
「短期決戦は勢いが大事。とにかく勢いよくスタートできるように、それだけを考えている」とCSのポイントを語った。
 ここでもキーマンは、やはり内川だ。今季のソフトバンクは、内川が初回に打点を挙げた試合は15勝1敗2分と断トツの勝率を残っている。内川自身もまた、初回の第1打席に対する意識は高い。
「1打席目で打つのと打たないのとでは、その試合流れが全く変わってくる。僕はチャンスの場面でアウトになったからどうしようではなく、プラスに考えることができる。このボールを打ったから次はこう攻めてくるだろうなという、上から目線で考えられるんです。もちろん、CS初戦でヒットを打つのが一番いい。だけど、たとえ凡退しても納得いく打席ならばそれでいい」
 過去の悪夢を振り払い、今年こそ日本シリーズに駒を進めることができるのか? ソフトバンクの命運を左右すると言っても過言ではない内川の第1打席に注目したい。



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